燕市・弥彦村在宅療養パンフレット
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我が家に帰りたかった おばあちゃん うちのおばあちゃんは、いつも元気で、朝早くから畑へ行き、新鮮な野菜を作っていました。おばあちゃんの野菜を使った肉じゃがが、わたしは大好きでした。 90歳を過ぎた冬、おばあちゃんは布団で寝ていることが多くなりましたが、私が声をかけるといつもの笑顔を見せてくれました。しばらくすると、おばあちゃんは徐々に食欲もなくなり、日に日に元気がなくなっていきました。 わたしたちは、心配になりおばあちゃんを、かかりつけのお医者さんに連れて行きました。お医者さんは、「いつもより少し血圧は低いが、大したことはない。年だからな。」と言われました。「でも、家ではほとんど食べません。どこか悪いのでは…。」と話し、「そうかなぁ。軽い脱水だと思うから、少し入院してみますか。」と言われ、紹介状を書いていただきました。 わたしたちは、「良かった。これで、おばあちゃんも安心。」と思いました。 病院で点滴をしているおばあちゃんは、少し元気が出てきたようにみえました。 しかし、おばあちゃんは、「オレ、やっぱ家がいいの~」と病院のベッドの天井をみながらポツリと言いました。おばあちゃんは、家に帰りたかったのです。 わたしは、思いました。入院して安心したのは、おばあちゃんではなく、私たち家族だったのです。 家にいて、日に日に弱々しくなっていくおばあちゃん。何かあったらと思うと、怖かったのです。このような状態で帰ってきても困ると思ったのです。

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